未来の愛犬家




犬が、傍に寄ってくる。


始めは、威勢良く吠えて噛みついてきた黒い犬。
顔を会わせる度に噛みつくのでこちらから露骨に避けてみたところ、寂しそうに悔しそうに、必死で追い掛けてきた。

どうにも情が湧いてしまい、今では定期的に構っている。構っても、犬はやはり悔しそうにはしているが、何だかんだで楽しんでいる。様に見える。


近頃は噛み付かず、こちらにちょっかいを出しつつも大人しく傍にいる事も増えてきた。


こう近くに寄ってきて、わふわふとじゃれつかれると、正直何とも言えない愛しさが生まれるのだが。



最早飼おうかとも、最近考え始めた。

放浪する身ではあるが、犬一匹くらいはどうにでもなると思う。幸い、この犬は荒野にも慣れている様だし、飼えなくはない筈だ。


後は、飼い主か。流石に飼い犬を黙って連れて行くのは良くない。
だがしかし、普段の行動を顧みるに…特に主がいる様には見えないこの黒い犬。
恐らく大丈夫だろう。




何か、問題があるとすれば。




「おい、キッド。…あんた俺の話ちゃんと聞いてんのか?」



何か問題があるとすれば、この犬が喋るという事だろうか。








確かに問題はある。
だけど、そこじゃない。







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