魔王と子供の話し合い |
「なあ。ずっと俺のことマッドって言ってるけど、マッドってなに?」 そういえば、という様な顔で此方を見上げながら、マッドが質問を投げ掛けてきた。内容はマッドについて。マッドがマッドについて聞く。何とも不思議な話だ。そして、私がマッドに何かを教えるというのも何やら変な話だ。 ぼんやりとそう考えながら、私は口を開く。 何はともあれ、知的好奇心が旺盛なのは良い事だ。立派な賞金稼ぎになってくれ。 「そうだな。…マッドは、よく私を追い掛けてきて…」 「へえ」 何かを言葉で教えるのは存外難しい。 言い方を探りながら思いつくままにマッドについて話す。 「会う度に噛み付いてきて…」 「…ふんふん」 「かと思えば妙にべたべたと接してくる事もあったな」 「…ん?せっして…?」 「触れてくるといったところか」 「ふーん」 そこから、話せば話すほど言葉が出てきてついつい長く語っていた。 語り尽くした後にふと気がつけば、マッドは話を聞きながら微妙な顔をしている。何か納得がいかない事があるのか、少し不機嫌そうな表情をしていた。 「……つまり、マッドつうのは、…イヌだな?」 俺をイヌの名前でよぶなんざ、いいどきょうだ。 マッドが憮然とした表情でそう言った。 思わず吹き出してしまったのは致し方ない事だと思う。 そのまま自分の口と腹を押さえて小刻みに震える私の姿を、マッドはいつまでも怪訝そうに見つめ続けた。 大体合ってr…合ってない。 |