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球磨善球磨(めだか)


球磨川と善吉
携帯電話ネタ




手のひらに乗る程度の大きさしかないこの小さな携帯電話には、簡単な人間関係の縮図が詰まってる様に思える。

例えば、僕の携帯に登録されている番号すべてに『助けて』とでも書いて送った場合、何人にまともに届いて、何人がまともに取り合って、何人が返信するだろう。


僕がそれを送ったとすると、多分きちんと届いた大概の人間は何かしらの裏があると考えるか。悲しいかな僕の性格を踏まえると妥当な判断だ。
所謂、日頃の行いという奴だろうか。


どうにも物悲しい気持ちになってきた。
あんまり考え込むと微妙な気分になるので、ここはひとまず気分を変えよう。携帯を取り出して、ちょっと考えた後に善吉ちゃんにメールを送る。
件名はなしで本文も簡潔。助けて。

なんとなくキレのいいツッコミを見たい気分だった。彼の性格上無視はしないだろう、というこの人選は悪くない筈。
送信しましたという表示を見ながら手持ち無沙汰に待っていたら、意外と早く返事が返ってきた。


『今どこにいるんだ場所を書けバカ』



見た瞬間、口元がにやけた。
だって、彼は分かっている筈だ。これがくだらない遊びだって事くらい。それでもこんな返信をくれるなんて、善吉ちゃんは色々と大丈夫だろうか。
文面を見るに場所が書いて送ったらここまで来てくれそうな雰囲気すら漂っている。彼はちょっと、お人好しをこじらせてるなと思う。


ぼんやりとそこまで考えた時、まるで慌てたみたいに携帯が鳴った。画面を見れば、着信、人吉善吉の文字が浮かんでいる。もう堪えられなくて思わず吹き出した。

心配なんてしちゃっているのか。僕の事が苦手だ、気に食わない、どうしたって反りが合わないだなんて普段から言って憚らない彼が、つい電話するくらい、僕の心配をしているのか!


ひとしきり笑った後、鳴り続ける携帯をポケットへ入れて立ち上がる。


とりあえずは生徒会室でも覗いてみようかなあ。
会って中身のない話がしたい。さっきのメールについて聞かれたら、ちょっと青春したい気分だった、とでも適当に言おう。






どうしようもないメール






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