言切(Fate) 言切。ギャグ まだ着てないけど女装話 言峰が五次寄り 僕は何をされるんだろう。 目の前で黙々と何かの準備をする男から、必死に目を背けながら考える。 身体は縛られて動かない。武器はない。 令呪を使ってサーヴァントを呼び寄せるのは、出来れば最終手段にしたい。まだ命の危機が訪れている訳ではない。命の危機、は。 視界の端に愛らしい白のフリルが舞った。 あぁ、イリヤやアイリが着たら素晴らしく似合うだろう純白のドレス。 続いて黒のベルベットが翻る。 シックな印象を与える控えめなデザインは、舞弥に合うかもしれない。 清楚さが際立つ滑らかな青のシルク生地。 軽やかに広がる青、というと、イメージとしてあの小さな騎士王を一瞬思い出す。 そう。 その華やかな服達は彼女ら女性にこそ相応しい。決して、成人男性の、もっと言えば僕に合わせたサイズであってはならないのだ。 僕は思う。 僕は、一体この似非神父に何をされるんだろう。嫌な予感が止まらない。冷や汗が頬をつたって落ちる。 ひとしきり服を検分していた神父が一着の黒と白の衣装を手に取った。持っているのはいわゆる、メイド服と呼ばれる衣装ではないのか。そっと持ち上げ僕に合わせるのを止めて欲しい。真剣に。 「…待て、言峰。…僕は、背も平均以上あるし、顔も声も体格も、女性的な部分どころか中性的な部分すらない、髭も生えている。…、だ、から、」 着たくない。 僕がそれを着るのは、ただの視覚への暴力だ。衣装への冒涜でもあるだろう。 そして、何より。 僕が嫌だ。とにかく着たくない。 神父の口元が少し歪む。聖職者にあるまじき凶悪さだ。 「…それが、いいんだろう…?」 そして、分かっていないなと言いたげに首を振られた。分かっていないのは、言峰、君の方だ。 アイリ。イリヤ。 僕はもう駄目かもしれない。 似合わない女性の服を、無理矢理着せられる屈辱を貴方に |