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オルステッド+魔王キドマド(LAL)2


オルステッド(LAL)9/21の続き
別次元の、普通に魔王を倒したオルステッド
現在位置→魔王サンダウンがいる西部


注意:死ネタ・グロの可能性・サンダウン不在・マッドに土下座で謝るしかない話







カツカツと、砕けた石と岩と砂しかない空間を歩く。


辺りを警戒しながら見渡してもあちこちが崩壊した壁が見えるだけで、人どころか異形の類すらも現れない。きらびやかな調度品もなければ、禍々しい置物もない。
生物の気配を感じさせない、ただただ広がる簡素な空間がそら恐ろしい。



それでも慎重に、道とも言い難い石造りの床と砂を踏み締めて先を進む。どれだけ歩いても似た様な風景が繰り返される。壁と石と岩と砂しかない。時折、枯れた草が申し訳なさそうに横たわっている。何も起こらず何も現れない。徐々に憔悴していく気がする。
私は本当に進んでいるのだろうか。


ずっと続くかと思えた道は、何か黒いものが視界に映ったことで終わりを告げた。
思わず身を固くする。黒いものへと近づく。

がらんとした空間にぽつりと、黒い椅子に座った男がいた。



男は、椅子の背もたれと肘掛けに体重を預け、力なく座っていた。
黒い服に黒い短い髪。緩く開いたままの目は無機質で、塗り潰したみたいに黒かった。その、顔の二ヶ所に穴が空いている様な生気の欠けた黒い目を、ぼんやりと何もない場所に向けている。

敵意はない。
それどころか何かの感情を読み取る事も出来ない。

警戒しながらもやや呆然と見つめている内に、ふと気付いた。
冷たそうな椅子に座ったままぴくりとも動かない黒い人物は、呼吸も瞬きもしていない。


頭の芯が冷える。
努めて冷静に、それでも少し上擦った声で言葉をかけた。彼は何の反応も返さない。一歩だけ歩み寄る。彼の視線は動かない。一歩また一歩と近づいて、手を伸ばせば届く場所まで距離を詰める。

息を吸い込み、覚悟を決めた。
左手を伸ばしだらりと投げ出された手に触れる。


体温は感じなかった。




つまりこの人は。
よく出来た悪趣味で精巧な人形か。もしくは不気味な程、綺麗に保存された死体だ。






続きたかった






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