小ネタ | ナノ


オルストオル(LAL)


電波系ほのぼの






花を摘んでみた。
綺麗な花を、沢山、たくさん摘んでみた。


赤や青や黄色の、綺麗な花。
片手一杯に花を摘んで、ようやく私は満足する。

さわさわと揺れる沢山の花の中でも、特に綺麗な花を選んで作った花束。
けれど手に収まった花束をよくよく見れば、色合いがどうにもごちゃごちゃしてしまっていて、野に咲いていた時の方が綺麗だった気がする。


少しだけ落ち込んで、私は完成した花束を緩く握りながら歩き出す。これでは喜んでもらえないかも知れない。
けれど、街へ戻ればもう日が落ちていて、代わりの物を探す時間もない。



不格好な花束を左手に、私は親友の家に向かった。
玄関をノックしてみても彼は出てこない。もしかして、出掛けてしまったのだろうかと慌てて、思わずドアノブを捻ればあっさり開いてしまう。

彼の名前を呼びながら、ソッと中に入ってみると、黙々と本を読んでいる彼がいた。


真剣な空気を称えた背中に、私は嬉しくなって、今日言いたくて言いたくて仕方がなかった言葉を大声で伝える。


「ストレイボウ、誕生日おめでとう!」


言うのと同時に、つい勢い余って手に持っていた花を放り投げてしまっていた。あ。

青色の髪に降る色鮮やかな花達は、とても綺麗だった。










「まったく、何を考えているんだお前は。勝手に入ってくるなと何回言わせれば気が済むんだ。大体、室内だぞ嫌がらせなのかこの花は」


撒き散らした花を一緒に拾い集めながら、親友のお説教を聞く。長々と続く話には全てに筋が通っていて、一つとして言い返せない。
ごめん、と小さく言えば深い深いため息を吐かれる。ごめんなさい。




それでも、ストレイボウは拾い上げた花達を、水を張ったコップに入れてくれた。




誕生日おめでとう、誕生日ありがとう






prev戻るnext




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -