小ネタ | ナノ


ストオルスト(LAL)


ストオルスト
暗い死ネタ






泣き声とも叫び声とも言い表せない声が響く。切れ切れに呪いの言葉を吠える彼を、憎いだとか哀れだとか恐ろしいだとか、そんな言葉で表す事は出来ない。全てがそうだとも思うし全く違うとも思える。


何かを訴える様な大きな音を止める事も出来ない。彼は私がきっかけでこうなったのだから。どんな言葉もどんな行動も無駄なのだと、普段よりもずっと冷静に思った。強いていうなら、一枚の布を通して見ているみたいな、遠い感覚。


そう。冷静に思ったけれど。遠い感覚ではあったけれど。
本当はただ、悲しかっただけかもしれない。悲しくて、悔しくて、何も考えずに投げ出してしまっただけかもしれない。




ぼんやりと立ち尽くす私に、骨すら焼き尽くす炎が、何度も頼ってきた力が、真っ直ぐ降り注いだ。







彼はもう喋らない。

無駄だなんて諦めないで、言葉を尽くしてなりふり構わず訴えればよかったのかな。
剣を捨てて手を伸ばして、振り払われてもすがり付いて。そうすればよかったのかな。



彼はもう二度と喋らない。

止めたいと思った、あの血が吹き出る様な叫びでもいいから。もう一度、君の声を聞かせてください。






さようならも言わない






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