オルステッド+魔王キドマド(LAL)1 別次元の、普通に魔王を倒したオルステッド 現在位置→魔王がいる西部 冒頭のみ あの魔王との戦いの時。 私はまだまだ技量も経験も足りず、ただがむしゃらに剣を振るうだけだった。 それでも魔王を討ち滅ぼし、もう一度姫とお会い出来たのは、一重に共に戦ってくれた仲間がいたからだ。 私を親友と呼び共に立ち向かってくれた友、どんな傷も瞬く間に癒し深い知恵を授けてくれた賢者様、すべてを切り開く強さで道を照らす剣士様。 しかし、彼らの誰一人として、この異世界にいない。 森に囲まれた自然豊かな故郷とは、正反対の様相をしたこの異世界。 地面には生い茂る緑などなく、一面に広がるのは砂が敷き詰められただけの様な荒野だ。乾いた細かい砂が風に乗せられて飛び、そのまま容赦なく顔に叩き付けられる。薄く痛みを残すそれは、遠目から眺めると見た事のない幻想的な景色になる。 強すぎる光を放つ、直視が難しかった太陽が砂山に沈み込んでいく。私の暮らしてきた世界の太陽は、こんな火を吹く様に強く輝く物ではなかった。緩やかに命を暖めていた太陽は、ここでは全て燃やそうとする命その物みたいだ。 とても綺麗だとも、酷く恐ろしいとも思える世界。 私だけだ。私だけがこの世界に飛ばされた。 勇者と呼ばれそして真の勇者であった方。病床の彼に渡された、この聖剣に釣り合う剣士になりたい。人々を、大事な人を、守り通せる力が欲しい。 その思いが今、試されているのだろうか。 こくり。と思わず唾を飲み込んだ。 私が、進まねば。 この世界の魔王を倒さねば。 悲しみに伏せる人々の為にも。 私を喚んだ、誰かの為にも。 決意を新たに真っ直ぐに前を見据えると、少し先に周囲と明らかに違う歪みが見えた。ここまで、案内する様に前を歩いていた馬が立ち止まり、理知的な瞳を此方を向ける。 「…ありがとう。…ここ、なんだね」 そう声をかけると、綺麗な毛並みをした馬は哀しそうに一声いなないた。 「…ここに、…」 魔王がいる。 声には出さずそう呟いて、一呼吸を置いた後。私は、その酷く歪な空間に譲り受けた聖剣を突き立てた。 最終編→西部に戻る→(飛んで)魔王サンダウン→別次元中世からオルステッド召喚 という話の冒頭 |