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01 (天文学部)


「あ、林檎」
「おー!なんか久しぶりだな!!」


移動教室のために廊下を歩いていると、たまたますれ違った林檎とりよがたわいもない話を始めた。しばらくその姿を眺めていたが、ふと視線を逸らすと男子生徒と目が合う。


『…………なに』
「べ、別に」
『(こいつどっかでみたことある気が…)』


少し考えていると不思議そうに旅生が頭にハテナを浮かべている。


「…?」
『あーー!思い出した!!入学式の時にいためっちゃ感じ悪いやつ!!私あんたのことめっっっちゃ嫌い。』
「はぁ?!初対面で嫌いとか、失礼極まりないな!」
『初対面じゃないから!あんときは礼も言わずにスタスタ歩いてっちゃってさ?!ほんっっっと感じ悪い。』


目が合って早々喧嘩を始める旅生とりなに気づいた2人が急いで止めに入る。


「ちょちょちょっと!どしたのりな!!」
「おいおい旅生!何してんだよ?!」
『こいつ!ほら!入学式の!!』
「入学式のってなんだよ。僕には美波旅生って名前がちゃんとあるんだからね?っていうか林檎この人達誰。」
「俺の幼馴染だよ!ほらこないだ話しただろ?りよとりな!こいつが幼馴染みのりよで、旅生と喧嘩してんのがねーちゃんのりな」
「…ふーん、ま、宜しくね。バカりな。」


バカりな……バカりな?…バカりな?!??!?!


『……………………はあぁぁああぁ?!??!あんた初対面の人にバカって何よバカってえぇえ!!!』
「さっき初対面じゃないって言ったのは君だろ??」
『あーーーーー!!ムカつくこいつめっちゃムカつくめちゃめちゃムカつく。行くよりよごめんね林檎』


キッと旅生を睨みつけた後、りよの腕を掴みツカツカと歩いて行ってしまった。


「おい旅生、もうちょっとなんかねぇの?俺の幼馴染みのねーちゃんなんだけど?」
「別にいいだろ?僕が仲悪くたって。」
「仲いい方が気分がいいだろー?…でも、旅生、ちょっと楽しそうだったな!」
「は?!別に、楽しくないから」


そう言いながら、誰にも見えないようにちょっとだけ微笑んだ。




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