「名前ー、リップってどー思う?」
またこの人は。唐突にも程があるし意味が分からない。
『はい?どー思うって?』
「男の俺が、リップ持ってたらやっぱキモい?」
あー、そーゆーこと。
この時代男がリップ持ってるのなんて希なことじゃないし、ましてや俳優の彼にはむしろ必要なものじゃないのか。
『別にキモくないよ?てかむしろ買ったら?カサカサだし』
「ほんと?じゃあ買おー!おすすめある?てか名前は何使ってんの?リップ。」
よくそんないっぺんにしゃべれるなー、さすが大型の小型犬。なつっこいな。
『私が使ってるのはー、1500円のやt「1500円?!」うん』
1500円ごときでそんなに驚かんでも…。
「そっか、じゃあ名前の唇は1500円だ」
ん?なんだって?私の唇が1500円?
そろそろまともに話してくれ、秀弥さんよ。
「1500円の価値があるなら、いっぱいちゅーしなきゃ損やな、うん」
何故か勝手に自己解決して顔を近づけてくる秀弥さん。
『ちょい、何も伝わらなかったしなぜ勝手に自己解決したよ』
頭大丈夫かな、この子
「ま、ええやん、そんなこと」
ちゅ
また勝手に自己解決したらしい秀弥さんは、
ニコニコしながらキスをしてきた。
『まったくこの人は…』
掴みどころのない人だ、なんて言ったら
多分また変なこと言うに決まってるから
胸の中にしまっておこう
END
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