じりじりと日差しが強い中、私と竹谷は虫籠と箸を片手に草むらの中をはいずり回っていた。
何が悲しくてこんなクソ暑い中毒虫探しなんてしなくてはいけないのだ。
正直言ってとても帰りたいのだが、大好きな竹谷に「人手が足りないんだ!お願いだ!」と必死に頼まれたとあれば断れるわけもなく、引き受けたからには見つけるまで帰るわけにはいかない。
しかしこの暑さに私の心は既に折れかけている。
そんな私には目もくれず、必死に毒虫を探し回る竹谷が憎たらしくなってくる。
少しくらいこっちを見て欲しいものだ。
「竹谷なんて虫と結婚しちゃえ」
口に出すつもりはなかったのに、嫉妬心が勝ったのかぽそり、と口から漏れてしまった。
まあ小声だったし竹谷には聞こえなかっただろう、と作業に集中しようとすると、「それは困る」とさっきまで地面と睨めっこしていた竹谷が顔をあげて私を見つめた。
「虫と結婚なんてしたら海里と結婚できない」
にかっと笑ってそれだけ言うと、竹谷は再び地面へと目を向けた。
私は顔に一気に熱がたまっていくのを感じずにはいられなかった。


2009.07.25

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