はろういんってアレだろ?

悪戯しまくりの日だろ?



甘い菓子よりキスをおくれ



「原田先生!トリック・オア・トリート!」


体育教官室の扉を開けると、焼きたてのパンみてーな笑顔のななしがいた。

俺は驚いて、再び扉を閉めようとしてしまった。

すかさず、ななしの腕が挟まる。


「なっ…、危ねぇだろ」

「何で閉めるんですか!?」


扉が開かれると、ななしが頬を膨らませている。

笑ったり怒ったり、忙しいやつだ。

心の中で苦笑しつつ、部屋の中に入る。

俺ら以外にひとは誰もいなかった。


「は、ら、だ、せ、ん、せ、い!」


呼ばれて、ななしを見る。


スカート短けぇよ、バカ。

最近の野郎共は想像力豊かなんだから、もっと気をつかえよ。


「ハロウィンですよ!トリック・オア・トリートですよ!お菓子くれなきゃ、悪戯しますよ!」


ななしがなまっちろい手を差し出してくる。

俺は暫く考えてから、


「あいにく、菓子は持ってねぇんだわ。一体…どんな悪戯をしてくれるんだ?」


その手のひらに口づけた。


「!!!」


みるみるななしが赤くなっていく。

はろういんって、楽しいな。


「…離してください」

「まだダメだ。はやく悪戯しろ」

「冗談ですから…!」


ふぅ、と息を吐く。


「とりっくおあとりーと」


ラチがあかないので、逆に言った。

あからさまに、ななしが安堵の表情になる。


「ちゃーんと用意してありますよ。お酒の入ったちょこれ…」


酒の入ったチョコレートか。

少し気になるな。

でも、俺がイチバン欲しいのはお前だよ。


金色の小箱を持った手を掴むと、こちらに引っ張って、今度は唇にキスをした。


「せんせ、ここがっこ…!」


いいんだよ今日は。


何をしてもいい、はろういんなんだから。



fin.


  





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