「…嫌か?」
「嫌…」
黒い瞳はわたしを捉えて離さない。
これを無視できるひとなんてこの世にいるのだろうか。
「なわけ、ありません…」
言うと、あごを持ち上げられ深く口づけされる。
熱い舌が、奥の奥まで探っていくが、それは、何か淋しさの類いを拭い去る行為に似ていた。
「ん…ぁ…」
きっと土方さんは淋しがり屋なのだと思う。
しかし、人一倍気位が高いから、人一倍淋しさを背負ってしまう。
「土方、さん…」
わたしごときが、彼の背負っているものを受け止められるなら、いくらでも受け止めてあげたかった。
「…………もっと、」
顔を赤くしてこんなことを言うわたしは、余程滑稽に見えたのだろうか、土方さんが苦笑した。
「お前は本当に、いい枕になりやがる」
手首を掴まれたかと思うと、畳に押し付けられる。
「他の男にはそんな顔するなよ。お前は、一生俺といればいいんだ」
ついばむように口づけされると、嬉しさが込み上げてきてカラダが震えた。
わたしは、いつまでも…来世再来世まで貴方のお側にいるつもりですよ。
fin.
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