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社長の態度を不気味に思いながらも、昼からがっつりステーキを食べる。
食べたいと言ったらあっさり許可してくれたのだ。
どうも居心地悪くて、私は隣の椅子に座らせたペンギンのぬいぐるみに目配せしてみる。
もしかして、マスターから昨日の話を聞いたのだろうか。
両親から連絡が来たと。
まさかとは思うが、それで同情してくれているのだろうか。
この人が他人に同情なんて、想像もつかないけれど。
でも、その程度のことだったらいい。
遠慮なく甘えてやろうと思える。
「よく食うな、あんた」
「とんでもないです。奢りとなれば」
「褒めてんじゃねぇよ。最近太っただろ」
「えっ、うそ」
私は思わずおなかを押さえる。
体重なんて気にしたことなかったけれど、そうなのだろうか。
そういえば制服のスカートがきつくなった気がしていたが。
おなかとステーキを見比べて、結局目の前の欲を取ることにする。
こんな贅沢、またできるかどうかもわからないし。
食事を再開した私を見て、社長は呆れたように首を振った。
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