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「明日、どっか行くか」
私の作ったパスタを食べながら、何を思ったのか社長が言った。
「は?なんですか。どうしたんですか。熱でもあるんですか」
「ねぇよ。ただ、あんた休み取ったくせに戻ってきたから、可哀想だと思って」
耳を疑う発言に思わず本音を漏らすと、社長が不機嫌そうに眉を寄せた。
「行きます行きます。服でもバッグでも車でもいいです」
「誰も何か買ってやるなんて言ってねぇ」
「じゃあステーキが食べたいです」
「もう却下。外出なし」
「すみません調子にのりました」
速やかに頭を下げると、社長の大袈裟な溜息が聞こえた。
社長から誘ってくれるなんて初めてだ。
最悪な気分で今日が終わるかと思ったけど、最後にちょっとうれしいことが待っていた。
「じゃあもう寝ろ。俺も寝る」
「はい。あ、社長。迎えにきてくれてありがとうございました」
立ち上がった社長を呼び止め、礼を言う。
社長は私をちらりと見たが、めんどくさそうな顔をしただけで何も言わずに寝室へと歩きだす。
いつもの社長。
変わらぬ日常。
帰ってきてよかった、と私は胸の内で呟いた。
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