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「こーたにー」
吉田の声が聞こえる気がするが、きっと幻聴だ。
「こたにさーん。無視すんなよ。こーたにさーん!」
さっさと教室を出て帰ろうとしたが、担任の大きな声が背中を追ってくる。
それ以上聞こえないふりをするわけにもいかず、私は仕方なく足を止めた。
満面の笑みを浮かべて、吉田が手招きしている。
「なんでしょうか」
「ちょっとお話しましょうよ」
近づいてきてそう言うと、さっさと前へ立って歩き始める。
くそ。説教に時給出んのか。
こっそり舌打ちをしながらも、私は吉田の後をついていく。
「さてさて、お仕事は順調ですか」
連れて行かれたのは生徒指導室。
ご丁寧に茶菓子まで出してくれたので、私はありがとうございます、と遠慮なく口をつける。
「ちゃんと飯食ってんのか」
その様子を見て、吉田が首を傾げて尋ねてくる。
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