銀行から帰ってくると、社長の姿はなかった。
たぶん大学に行ったのだ。

私も午後からでも学校行くかな、と制服に着替え直す。
少しでも単位はかせがないと。
あと一年分学費を払わなきゃならないなんてことになるのは、絶対避けたい。
適当にお昼をすませて、私は学校へ向かった。

「おー小谷。よく来たなー」

教室に入った私を目敏く見つけて、来客をもてなすように言ったのは担任。

しまった、次の授業は吉田の日本史だ。

そう思ったが、入ってしまったので軽く会釈して席に着く。
クラスの人たちは私のことをちらりと見ただけで、再び自分たちの会話へ帰っていった。

お察しの通り、私には友達がいない。
学校もろくに行かず、付き合いも悪いとなればまぁできなくて当然だろう。

が、別にいなくていい。
彼らとは生活が違いすぎる。
話も、価値観も、合わないのは明らかだ。

私は何よりバイトが大事なのだ。

違った。

何より金が大事なのだ。
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