13
「バイトでは仲の良い人もいるんだなぁ、小谷。先生ちょっと安心した」
吉田が目を細め、頬杖をついて私を見た。
ああ、そのパターンか。
私は心の中で溜息をつく。
「小谷は教室とか、居づらくないか?」
「いえ、別に」
「弁当、ひとりで食べてるだろ」
「人と一緒にいるのは苦手なんです」
「でも、みんな小谷とも仲良くなりたがってるぞ」
どこのみんなだ。
私は無言でうつむいた。
いつも、いつも、教師というのはどうして放っておいてくれないのだろうか。
別にいじめられているわけじゃない。
一人でいるだけだ。
私が教室の空気を乱しているのはわかっている。
協調性というものがあればクラスも丸く収まるのだろうけど、私はその方法を知らない。
知ろうともしていない。
だって、それより大切なものがあるのだ。
授業を受けて、部活をして、休日は遊びに出かけて。
そんな暇がどこにある?
それじゃあ生活していけない。
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