「今日銀行行ってきて」

「学校なんですが」

「どうせいつも行ってないだろ。金と知識とどっちが大事なんだ」

「銀行いってきます」

私は素早くブラウスとパンツに着替え、事務所を出る。
補導に関しては心配なし。
背は高めだし、そこらの高校生と違って人生経験豊富な分、老け顔だから。

銀行まで歩きながら、私は大きな溜息をつく。
こんな暑い中、二十分も歩かなければならないなんて。
クーラーの下で寛いでいた社長の姿を思い出し、私は頭の中で悪態をつく。
あの野郎、自分だけ楽ばっかしやがって。

社長は御年二十歳。
一年前に起業した現役大学三年生だ。

そもそも家がお金持ち。
「自分の金は自分で稼ぐ」という教育方針のもとで育ち、株を始めたのは中学生という可愛げのなさ。
さらに、その資金をもとに始めたネットビジネスが成功。
ひとり事務所を構え、悠々と仕事をしていらっしゃる。
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