「金星に住みたい」

「なぜ?」

「カネの星ゆえ」

「そこまで行く金もないくせに」

私は社長を睨み付ける。
彼は視線を向けることすらせず、パソコンのキーを叩き続ける。

「……さっさと働け。働いたらあんたの大好きな金を支払ってやる」

それでも私が睨んでいると、社長はめんどくさそうに口を開いた。
その言葉を聞いて、私は仕事を再開する。

すべては金の為。
金の為ならこんな男のもとでだって働いてやる。

まとめた書類を鞄に入れて、事務所を飛び出す。

世の中は不平等だ。
神様はなぜ、金持ちと貧乏人を作ったのだろう。

クーラーの下でデスクに向かう社長のため、私は炎天下の街へ足を踏み出した。
|

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -