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「いや、いやいやいや、そこまで仲良くなっているとは思わなかった。そう、君たち一緒に住んでるの」

「住んでません」

涙を拭っているマスターの言葉を、私と社長は同時に否定する。

「だってほとんどこっちにいるんだろ、マキ」

「いるけど、これと生活パターン合わないし」

「じゃあどうやって仕事してるんだ」

「合わさせてる」

「おいおい、まさか学校サボらせてるんじゃないだろうな」

咎めるようにマスターは言うが、口調は軽い。
この人も、こういうことには甘いのだ。
学校より大切なものなんて、いくらでもある。

「ああ、でも良かった。そうだな、俺はいいと思うよ。君たちはお互いひとりでいないほうがいい。ずっと一緒にいなさい」

私たちの話を聞いているのかいないのか、マスターはひとり納得したように頷く。
私と社長は何か言おうと口を開きかけ、結局何も言えずに溜息を零した。

マスターはもう一度煙草をくわえ、火をつけて煙を吐く。
そうして私の方に顔を向け、唇ににやりと笑みをのせた。

「マキのことよろしくね、リョウちゃん」

よろしくなんてされたくない。
が、そもそも今の生活があるのはマスターのおかげ。

返事に迷って社長のほうをちらりと見る。
彼は私を鼻で笑い、ふいっと顔を横に向けた。
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