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どうしても許せないことがある。
何度言っても直らない金持ちの悪しき癖。

「社長!部屋を出るときは電気消してって言ってるでしょ!」

学校から帰ってくると家主はおらず、電気だけが点いていた。
私は社長が帰ってくるのを待ち構えていて、ドアが開いたのと同時に怒鳴りつける。

「帰って来るなりうるさいよ、あんた」

「だって何度も何度も何度も言ってるじゃないですか!なんで電気消すくらいのことができないんですか!」

「面倒なんだよ。別にいいだろ、電気代払ってんのはあんたじゃないんだから」

「でも不愉快!」

うっとうしそうに中へは入ってくる社長を追いかけて、私はバンッとデスクに両手をつく。
その後ろで、思いがけずくすくすと笑い声がする。

「元気そうだね、リョウちゃん」

はっとして振り返ると、そこにはマスターが立っていた。
前のバイト先の、バーの店長。
ここを紹介してくれた、社長の叔父だ。
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