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事務所に帰ると社長がいた。
私を見て、腹が減った、と目も上げずに言う。

「ここで食べるんなら食費出してくださいよ」

「あんただって家賃払ってないだろ」

「それはー……」

「さっさと作れ」

なんて偉そうなんだこの男。
だけど言い返せるはずもなく、私は奥へ引っ込む。
鞄を放り出し、さっさと着替えて、私は料理へ取りかかった。

この事務所というのは、とあるアパートの一室にある。
よってキッチン、バス・トイレ付き。
となったら住むしかない。

働き始めてすぐに決め、荷物などを少しずつ移動してきて、前に住んでいたアパートを引き払った。
社長との攻防もあったが、結局今はここに住んでいる。
金のためなら何だってするのだ、私は。
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