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一気に静まり返った家の中に、祖父の溜息が落ちる。怒られるかなと、そろそろと私が顔を向けると、祖父は意外にもちらりと笑った。
「悪かったな、急に。驚いただろう」
「うん。来てたなんて知らなかった」
「おまえが来るとは思わなかったんだよ」
「もしかして、今まで何度も来てたの?」
「……二、三度な」
祖父は言葉を濁す。
祖母が曖昧に笑う。
「ごめんね、知らなかった」
「リョウが謝ることじゃないわ」
「うん、でも、私がいるから」
「おまえはここにいていいんだよ。あの二人が戻ってくるのが悪いんだ」
腹立たしそうに祖父が吐き捨てる。
私はちょっと微笑んで、頷いた。
息子のことをこう言わせてしまうのは、罪悪感を感じてしまう。
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