それでも、うれしくなってしまう私は馬鹿だと思う。
迎えに来るわけない、一緒に暮らすことなんて二度とない、そう思っていた。
もう親はいらない。
私は一人で生きていける。

だけど、二人は現れた。
今、こうして目の前に。
だから私は喜んでしまうのだ。
思ったより、憎しみが強かったようだけれど。

「勝手なことを言うな」

口を開けずにいる私の代わりに、祖父が低い声を出した。

「今更出てきて無神経なことを。自分たちのしたことがわかっているのか。この子に何をしたか」

「わかってるよ、だから謝ってるんじゃねぇか」

「わかってないだろう、結局お前たちの借金を片づけたのも私じゃないか。のこのこと出てきて何のつもりなんだ」

「それもありがとうって言っただろ」

「何なんだその態度は、いい加減に……」

「あなた」

勢いよく祖父が立ち上がり、祖母が慌ててそれを引き留める。
父は面倒そうにがりがりと頭を掻いた。
母は隣でまだぐずぐずと泣き真似をしている。

私は溜息をついた。
それでも、答えなんて決まっている。
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