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吉田が軽く机を叩き、困ったように私を見る。
単位が危ないのはわかっている。
が、卒業さえできればいいのだ、私は。
ちゃんと計算している。
「大丈夫ですよ、危ないだけなら。試験も点数足りてるでしょ?」
「試験はな。余ってるくらいだよ。でも」
「じゃあいいんです。問題ないです」
「問題あるかどうかはこっちが決めることであってな、おまえが決めることじゃないんだぞ」
吉田が呆れたように言うので、私は小さく溜息をついた。
別に、学校になんと言われようが、なんと思われようがどうだっていい。
学校が私の生活を保障してくれる訳じゃないんだし、むしろ私が学費を払っているんだし。
まぁ、吉田が言いたいのがそういうことじゃないのはよくわかってる。
わかっている、けれども。
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