かぷりと首を唇で食んで歯を突き立てる。
歯が肌を破って、口内に血が流れ込む。
私の腰に添えた旭の手にぎゅっと力がこもり、私は痛みが和らぐように彼の髪を撫でた。

「……ごちそうさま」

血を舐めとって、顔を上げる。
旭はくらりとしたらしく目を閉じて、隣に移動した私に倒れるように凭れかかってきた。

「大丈夫?」

しばらく膝に頭をのせてじっと寝かせていて、旭が目を開いたので私はそっと頭を撫でる。

「平気。慣れたよ、もう」

「ちょっと多くもらいすぎちゃったね」

「だから我慢すんなって言ってんのに」

私が眉を下げると、旭は小さく喉を鳴らして笑う。

こういうやりとりが日常となって、旭は慣れたというが私はまだ慣れていない。
まだ罪悪感があるし、かと言ってもう他の人間に手を出すつもりはないし、葛藤はやまない。

旭の肌に刻んだ歯の痕に指先で触れる。
私の考えを察したように旭がその手を掴み、起き上がってそのまま体を引き寄せた。

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