鬱蒼と茂る木々の間にぽつんと佇む二人のお墓の前に、私は膝をついて花を供える。
隣に旭が並ぶ。
私は目を閉じて、手を合わせる。

おじいちゃん、おばあちゃん。
私は旭の傍にいることに決めたよ。
どうか見守っていてね。
二人にみたいになれるように。

私が目を開いて隣を向くと、旭はまだ手を合わせていた。
その横顔が綺麗で、どうしようもなく泣きたくなった。
祖母が祖父を看取ったように、私も彼が死にゆくのを見送ることになるのだろう。
今なら少し、祖母の気持ちがわかる。
祖母の選択が彼女にとっての最上であっただろうことを、想像より近いところで確信する。

旭がゆっくりと目を開き、手を下ろした。
こちらを向いて、少し微笑む。

「もっと早く気づいて、会っておきたかったな」

そんなことを言う旭に、古い記憶が蘇って思わず笑みを零す。

「あの子は将来いい男になるわ、っておばあちゃんは言ってましたよ」

私は立ち上がって、旭に手を差し出した。
その珍しい行動に少し目を見開いたが、旭は何も言わずに手を取って立ち上がる。

いい男になったでしょう、と私は墓石を見下ろす。
母とよく似た不敵な笑みを浮かべる祖母の顔が思い浮かんで、私は少し誇らしい気持ちになった。

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