旭の手をぎゅっと握って、私は噛みつくようにキスをした。
驚いて目を見開いた旭と視線が交わる。

「全部くれる?」

空いた左手で白い首を撫でる。

「血、ぜんぶ。もう限界なの。殺しちゃっても、いい?」

血の芳香が鼻をくすぐり、私は繋いだ手を解いて、垂れてきた血をぺろりと舌ですくった。
甘く、芳しく、たったそれだけで舌を痺れさせる。
旭は一度目を瞬かせてふっと細め、もう片方の手で私の頬を撫でた。

「いいよ。言っただろ、全部やるって」

少しは迷え、と涙が滲んだ。
旭が目尻にキスを落とす。

それだけで、大丈夫だと思う。
私は正気だ。旭を殺せるわけがない。
どんなに欲しくても、全部くれると言われても。
きっとずっと、旭を大事にしていける。

旭の手を取って、丁寧に血を舐めとる。
酒を舐めたときのような酩酊。
これまで口にしたことのない、極上の味。

覚えてしまうと離れられないな、と頭の隅で思う。
私は唇を離して、首筋へ向かう。
傷口に菌が入るとまずい。
せめて痛みは最小限で。

「愛してる」

首に腕を回すと、旭の体が硬くなる。
聞こえるか聞こえないかというくらいの声で囁いて、私は彼の肌に歯を突き立てた。

|
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -