堂々巡りに疲れ切っているのに、その思考は飽きもせずに終着点を探して同じことを繰り返す。

あれは、今まで築き上げてきた私と旭の信頼関係を一気にぶち壊す行為だった。
所詮その程度の絆だったのだ。
だけど、実際きっかけを作ったのは私。
壊したいと願ったのは私。
もしかしたら、旭も同じ願いを持っていたのかもしれない。
身動きの取れないこの状況を、いっそ壊したいと願っていたのかもしれない。
私を傷つけてでも。
それによって自分のほうが傷ついてでも。

ぎゅっと腕を握り、彼の感触の刻まれた肌に爪を立てる。
だけど、それでも、私は。

嫌だなんて思わなかった。
嫌いになんてなれなかった。
ただ、そんなことをさせるまでに追い詰めていたのかと愕然とした。

私がすべて受け入れれば、たぶん事態は丸く収まる。
だけど、そんなの今だけだ。
普通の人間じゃない私が普通の生活なんてできるわけもないのに、どうして旭を幸せにできるというのだろう?
養わせて、血を吸って、それが彼の負担以外の何になるというのだろう?

旭を待つ他の幸せなんて、知らなければよかった。それより旭を幸せにできる自信があればよかった。
父のように強ければ。
母のように気高ければ。

爪の食い込んだ肌が悲鳴を上げる。
それでも、あの日の痛みは消えてはくれない。

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