挑発的な視線を向けられ、私は口を噤む。
確かに少しほだされている。
でも、私の決意が変わったわけじゃない。
卑怯な私は、旭が諦めて離れていくのを待っているのだ。

「そうだね、旭に怯んでないで、他の男の血を吸うべきだと思うよ」

「そういうことを言ってるんじゃないでしょう」

「そういうことよ。今度こそ、旭を切り捨てなきゃいけない」

「……頑固な子ね」

母の表情が呆れに変わる。

確かに、私は意地になっているだけかもしれない。
旭に正体がばれて、それでも受け入れてくれて、血までくれると言われたけれど、はねつけただけで何も答えられなかった。
肯定も否定もせず、一緒にいてとも離れてとも言えず。

ちゃんと話さないといけないと思う。
でも、話せばきっと平行線になる。
これからも旭を縛りつけることになる。
旭は正直で、一途な人間だから。

ワインを一口、考えるようにこめかみを押さえる。
それから髪をかきあげて、母はもう一度口を開いた。

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