11


「だから、逃げんな。避けんなよ」

私を押さえつけるように、旭の手が肩を掴む。

「今まではそれでもいいって思ってた。おまえが望むとおり、俺は黙ってればいいって。だけど、それじゃあおまえは離れてくんだろ。俺は傍にいたい。ずっと」

死ぬまで、と旭は言う。
簡単に。
私が望む言葉を。
一番言って欲しくなかった言葉を。

「おまえが好きだ。傍にいたい。他の男のところに行かせたくない」

苦しそうな視線を、切羽詰まった声を、縋りつくような手を、振り払うことも、受け止めることもできなかった。

知っていたのだ、そんなことは。
旭がそう言ってくれることくらい知っていた。
だから言わせなかった。
自分が突き放せなくなることも、知っていたから。

「傍にいろ、美夜。全部受け入れるから」

旭の手が肩から離れ、頬に触れる。

「全部やるから。俺の心も体も血も全部」

言葉を押し込めるように唇が重ねられて、私はぎゅっと目を閉じた。

ほら、旭はそう言うのだ。
全部くれるって、そう言うのだ。

抱き締められて、噛んだ唇から血が滲む。
溢れた涙が瞳から零れ、旭の首筋にぽたりと落ちた。

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