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「いいんだよ、おまえがニートでもひきこもりでも吸血鬼でも、なんでも。別に責めてるわけじゃない」
旭の口調が和らぐ。
私は目を上げて、その表情を窺う。
「ただ、他の男に会うな。そう言ってる」
またそれか。
私は顔を歪める。
「会うな会うなって、なんで。私が何しようが関係ないでしょ」
「関係なくない」
「関係ないでしょ、ただの幼馴染なんだから。私はもう子供じゃないんだし、心配しなくても大丈夫よ。一人で生きていける。いつまでも一緒にいてくれなくていい」
強く睨んで、言い放つ。
再び旭の表情が険しくなって、彼の手が喧嘩腰に、私を閉じ込めるように壁につかれた。
「わかってるだろ」
旭は苛立ったような、もどかしそうな顔をして言った。
「おまえが好きなんだよ」
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