8
旭の鋭い視線が、私の嘘を見抜く。
「嘘つくな」
「嘘じゃない」
私は壁に追い込まれて、枕を掴んで投げつける。
「くだらないこと聞いてないで、さっさと彼女のところに戻れば。私にも迷惑なの。誤解される」
「あれは彼女じゃねぇよ。おまえにも彼氏はいない」
「か、れしだって言ってるでしょ」
「違う」
旭がきっぱり否定する。
すべて、何もかも理解している口調で。
「……違わない」
私は言い張る。
呆れたように息を吐いて、旭はわずかに態度を軟化させた。
「……泣くな」
言われて、自分が泣きそうだったことに気づく。
慌てて俯き、手で顔を隠した。
本当に馬鹿だ、私。
これじゃあ全部認めてるようなもの。
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