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「じゃあ何したんだ?おまえ。彼氏が目の前で倒れてるのに、なんで放置して帰ったんだ?」
「……酔ってたんですよ」
「へえ。あの男に飲んだ様子はなかったけど」
「それは……」
「じゃあ、あの歯型は?おまえが昼間に外出したがらないわけは?おばさんがほとんど家から出ないわけは?説明しろよ」
畳み掛けられて、私は口ごもる。
これは、これだけはバレちゃいけないことだ。
こんな存在が明らかになって、無事でいられるはずもない。
だけど、まともな言い訳も思いつかず、私は唇を噛み締める。
挑戦的に腕を組んでこちらを見下ろしている旭を、恨めしく睨み返す。
「……昨日は酔ってただけだし、お母さんも私も体が弱いだけ。いきなり来て馬鹿みたいなこと言わないでくださいよ。ただキスしてただけでしょ。自分の跡くらい残してもいいじゃない」
言い返した声は、冷静になれずに熱を持って揺れる。
旭が眉間に皺を寄せる。
彼が私を追い詰めるようにベッドに上がり、ぎしりとスプリングが軋んだ。
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