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油断していた。
完全に慢心していた。
この生活に慣れ、注意を怠っていたのだ。
「はぁい」
ノックの音に返事をするのと同時に、ドアが開く。
私は漫画を置いて、ベッドから上半身を起こした。
入ってきた人物を見て、ぎょっとして肩を跳ねさせる。
「な、なん……」
何事もなかったように、以前と同じように旭はやってきて、不機嫌そうにベッドの側に立った。
私は思わず壁際に後退する。
旭はぎろりと私を睨み、低い声でこう尋ねた。
「おまえ、昨日何してた?」
開口一番、予想もしなかった問いに、私はさらに理解できずに首を傾げる。
「昨日の夜、何してた?」
昨日の夜?
昨日の夜は、確か。
「……彼氏と、いましたが……」
男と会っていた、と言おうとして、とっさに言葉を切り替える。
旭が眉間の皺を深くする。
なんなんだ、一体。
なにがあったんだ。
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