「あんたはずっと既製品を摂取してきたから、本物を口にして夢中になるのもわかるけど。自分でコントロールしなきゃ。ただでさえ人間の社会で生きてるのに」

「だって、我慢できなくなるの」

「できなくなるじゃだめなのよ。我慢しなさい」

言い返すと、ぎろりと睨まれる。
娘の私が言うのもなんだが、その美しい顔で睨まれると迫力があって怖い。
私はしぶしぶ、はい、と頷いた。

「あんた、旭と会えなくて寂しいから出かけてるでしょう?」

ふいに母の口から出てきた言葉に、鼓動が跳ねる。
母の言うとおり、あれから旭とは会ってない。
だけどそれとこれとは関係ない。たぶん。

「後悔してるの?旭を選ばなかったこと」

「旭の血は吸わないって言ってるでしょ。私が血を吸いたいから出かけてるだけで、旭は関係ない」

今度は私が母を睨む。
母は呆れた顔をして、もう一度大きく溜息をついた。

「まぁ、あんたがいいならいいのよ。でも、外出は控えなさい。せめて週に一度にして。いいわね?」

「……わかりました」

頬を膨らませて、私は返事をする。
先ほど含んだ血の味を思い返して、我慢できるかなと少し不安になった。

|
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -