END
いつか王子様が。
そんな、夢見る乙女の前に現れたのは、可愛らしいお姫様。
何かの間違いだとしか思えなかったけれど、今はそんなふうには思わない。
あれは正しかった。
彼女と出会ったことに後悔なんてない。
そして、私のわがままなお姫様は、彼女だけを守ってくれる強い騎士のもとへと戻っていった。
それも正しかった。
最初からこうなるべきだった。
正直さみしい。
けど、未練はない。
私も前に向かっていくのだ。
彼らのように、まっすぐに。
遠くない未来愛することになるだろう、意地悪で、優しい優しい王子様のもとへ。
「潤ちゃんに近づかないでよ!」
「君こそ潤の前に、その酷い顔さらさないでくれる?」
「てめー人の彼女に失礼なこと言ってんじゃねぇ」
日々は相変わらず。
呆れつつ後ろからじゃれる様子を眺めていると、前を歩いている3人が振り返った。
「潤ちゃん早くっ」
「おせーよ浅倉」
花音が笑顔で手招く。
好人くんがしかめっつらで急かす。
佐伯くんはふっと微笑み、私に向かって手を差し出した。
「潤」
とりあえずはハッピーエンド。
私は笑みを浮かべ、彼らの待つ物語の先へと駆け出した。
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