直球で言われて、私は苦笑を漏らす。
確かに、自分でも馬鹿かなぁとは思う。
けど。

「身を引くも何も、別に付き合ってるわけじゃなかったしね」

「あとは君の返事だけだったでしょ」

「……どっちにしろ、私には返事をする勇気なんてなかったよ」

なだめるように私が言うと、佐伯くんは不満そうに私を睨んだ。

「お人好し」

「佐伯くんに言われたくないんですが」

「俺、お人好しなんかじゃないよ」

「佐伯くんが一番だよ」

断言して佐伯くんの目を見ると、彼は手すりに肘をついて鼻で笑った。

「結局、こうなって一番喜んでるのは俺だと思うよ」

そう言って、じっと私を見る。

「邪魔者もいなくなったことだし、これで心置きなく攻められる」

|
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -