初めて捨てることになったのは、指輪ではなくネックレスだった。

迷ったけど、持ってちゃだめだと思った。
花音とはこれから本当の友達になるのだ。
せっかくくれたのに申し訳ないけど、花音にとってもそのほうがいい気がする。
今彼女に必要なのは、こんなものじゃなくて薬指に嵌められた指輪なのだ。

「花音」

講義の後、花音と二人で教室を出ると、好人くんが待っていた。
ちらりと私を見て、相変わらず敵意むき出しで花音の腕を引く。

「ちょっと、ひっぱらないでよ」

「腹減った。帰るぞ」

「花音は潤ちゃんと……」

「あー、いいからさっさと帰んな。じゃあね」

私はひらひらと手を振って、二人を追い払うように帰らせる。

「バイバイ、潤ちゃん」

仲良く手を繋いで去っていく二人を、私は微笑んで見送った。
お人好しすぎる、私。
でも、気を遣われるよりはずっといい。

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