6
ふと、窓の外に目をやった。
飛び込んできた光景に視線が留まる。
……あれは。
じっとそこを見つめている私に気づいて、好人くんもそちらに目を向けた。
ひとつの傘を差している、花音と佐伯くんの姿。
胸がざわつく。
花音のものだろう、佐伯くんの手に握られた赤い傘が、灰色の景色に鮮やかに映る。
「なんであの二人が……」
その声に視線を戻すと、好人くんはあからさまに眉を寄せていた。
本当に、なんであの二人が。
私は再び窓の外を見る。
あの二人が並ぶと、美男美女ですごくお似合いだ。
ざわざわと心が揺れる。
ぎゅっと眉を歪めた。
嫌だ、こんなの見たくない。
私は顔を背けようとする。
しかし、花音と佐伯くんが動き、こちらへ向かってやってきた。
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