指先でネックレスのリボンの形をなぞる。
先生の声が遠い。
ノートを取る気にもならない。

最初が相談相手だったせいか、佐伯くんにはけっこう何でも言いやすい。
告白されてからも変わりなく接してくれるし、彼に甘えているという自覚はある。
佐伯くんは、冷たく見えて、人の事に敏感だ。
私の気持ちにもよく気がついてくれるし、そのうえで冷静に見守ってくれている。

だから恋愛とは違うのかな、と感じる。
できれば佐伯くんを好きになりたいというのが本音だ。

本当に、私はずるい。
こんなこと思うのは失礼だ。

ふと、花音がこちらに目を向けた。
私の手元に気づいて、彼女も自分のネックレスをちょっと持ち上げてにっこり笑う。

恥ずかしくなって、私は照れくさく笑みを返した。
なんだか私、ものすごく喜んでいるみたいだ。
まぁ、実際喜んではいるのだけど。

黒板に視線を戻した花音に隠れて、私はこっそり溜息を漏らす。

恋する乙女か、私。

自分で自分を嘲ってみる。
その考えを振り払うように、私はようやく授業に参加し始めた。

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