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「潤ちゃん潤ちゃん」
授業前、教室で一人座っていると、花音が駆けて来て隣に座った。
「これあげる。日曜日にね、遊びに行ってきたお土産!」
ご機嫌な様子で、花音は私に何か包みを差し出してくる。
なに?と私は首を傾げ、促されて包みを開ける。
出てきたのはネックレス。
赤いリボンモチーフの、華奢なネックレスだった。
「おそろいなのー」
頬を緩ませて、花音が自分の首を示す。
彼女の白い首元には、ピンクの色違い。
目を瞬かせる私の手からネックレスを取って、花音は私の後ろへ回った。
「一目惚れしてね、一緒につけたくなって買っちゃった。可愛いでしょ?」
「う、うん。可愛い……けど、いいの?」
「いいよいいよ。あー、やっぱ似合うー」
ネックレスをつけ終わると、花音は私の正面に顔を覗かせてうれしそうに笑った。
「これからつけてね!」
満面の笑みで言われて、私は思わず頷く。
約束ね、と花音が小指を絡めてくる。
「ありがとう」
ようやく我に返ってお礼を言うと、花音は満足気に笑った。
授業のチャイムが響く。
そのまま彼女と二人、その時間の授業を受けることとなった。
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