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薄くメイクをして、スカートなんかで来てしまった。
それでも、はりきっちゃいましたという感じを出さないように、いつものようにカジュアルにまとめて。
待ち合わせ場所に行くと佐伯くんはすでに待っていて、私を見てにこりと笑った。
「かーわいい」
にこりじゃない、にやりだ。
全部見透かしたようにさらりと言われて、恥ずかしさで死にそうになる。
項垂れた私の頭に手をのせて、佐伯くんは私を促した。
「じゃ、行こ。俺、まだメシ食ってない」
相変わらずのマイペースで、さっさと先を歩いていく。
くそ、こうなったら開き直るしかない。
ふわりとスカートを翻し、私は佐伯くんの後を追いかけた。
「カレーとオムライス」
佐伯くんは大して迷いもせず近くのカフェに入り、さっさとメニューを決めてオーダーしてしまった。
きっと、私がいつもオムライスと決めているように、佐伯くんもカレーと決めているのだ。
あっというまに注文が終わってしまったので、私は店内に視線をうろうろさせる。
やっぱり花音との食事するのとは違って落ち着かない。
男の子と一緒だもんだなぁ。
と思う私とは対照的に、佐伯くんはメニューを見ながら鼻歌を歌っていた。
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