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とりあえず言わなきゃ、と思った。
佐伯くんに。
もう、今のところ彼と付き合う気にはなれない。
花音のことが落ち着いてからと言われたけれど、それだと遅い気がする。
ちゃんと告げて、彼のほうだけでもはっきりさせなければ。
「ああ、たぶんその話いらない」
佐伯くんを呼び出そうと電話すると、あっさりそう言われた。
「そんなことよりデートしようよ」
気合を入れて電話したのに、さらっと流されて拍子抜けしてしまう。
「デ、デート?」
「うん、いいでしょ」
「や、いいでしょって言われても……」
「頭突きのお詫びくらいしてくれても」
「うっ」
口ごもっているうちに、いつのまにかデートの展開に持っていかれてしまった。
花音もそうだけど、佐伯くんも強引だ。
困っていたはずが、朝になると部屋中に服を散らかして準備に追われていた。
だって仕方ない。
男の子とデートなんかしたことないんだから。
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