「告白された?」

悪戯っぽく、それでも恐る恐るといったふうに尋ねられ、一瞬迷ったが素直に頷く。

「……返事は今じゃなくていいって言われてる」

私は一度視線を落とし、それから謝罪も付け加える。

「実は、花音のこと話してあったの。最初に会った後から、相談にのってもらってた。ごめん、勝手に話して」

「いいよ、花音でも誰かに相談するもん。それに、あの人出てきたらどうせバレてたし」

頭を下げた私に、花音はなんでもないことのように笑う。
ああ、こんなふうに人を気遣える子だったんだな。
彼女の大人の振る舞いに、私はほっとしてもう一度ごめんね、と言った。

「……花音は、それでも一緒にいたい。好きとかそういうの置いといても、潤ちゃんといるの、楽しい」

何を言おうか考える素振りを見せた後、花音はぽつりと話し出す。

「潤ちゃんがあの人のこと選んだとしても、いい。ていうか、ほんとは嫌だけど、潤ちゃん花音のことも真剣に考えてくれてるし。だから、今離れたくなんか、ない」

どこか泣きそうな声でそう言って、花音は微笑んだ。
奇麗に。
私の心を軋ませて。

「……ありがと」

胸が痛い。
私は少し微笑んで、唇を噛む。

この痛み、知ってる。
この切なさ、覚えがある。

確かな予感に戸惑いながら、私はいつもの花音に声をかけられて、ケーキを食べるためにフォークを手にした。

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