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二人がいなくなると、佐伯くんは悠々と座り直してお菓子を食べ始めた。
私はぼけっとその様子を眺める。
なんなのこの人。
なんでこんなに落ち着いてるの。
「……私、間違ってたのかな」
食べる?とお菓子を差し出されたが、私は手を伸ばさずにぽつりと呟く。
「俺は最初からぶっとばせって言ってた」
あっさり返されて、私は佐伯くんを睨みつけた。
「あの子のこと好きなの」
視線を合わせたまま黙り込んだ後、沈黙を破ったのは佐伯くんだった。
「なんでそんなこと」
「答えらんないの」
「私は……っ」
花音のことが好き?
好きじゃない、ってはっきり言えない。
これは恋愛感情?友情?同情?
わからない。けど、花音を突き放すことなんて。
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