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「あんた、こいつの彼氏だったんだ」
ぱちりと大きな目を瞬かせ、好人くんが佐伯くんを見る。
「彼氏なわけないでしょ!」
「え、じゃあなに?」
「何もかも知り合っている仲ですが」
「勝手なこと言わないで!」
代わりに答えたのは花音で、その剣幕に好人くんはたじろぎ、佐伯くんはまた適当なことを言う。
ああ、なんてマイペースなんだろうこの人たち。
私は花音の腕から逃げ出し、佐伯くんの前に座りなおした。
「みなさん、騒いでないでお菓子でも食べましょう」
私は先生のように三人に呼びかけ、ぱんぱんと手を叩く。
すると三人は大人しくなり、私の隣に花音が、佐伯くんの隣に好人くんが座った。
「さ、食べましょー食べましょー」
私は袋からお菓子を出して、ざっとテーブルに広げる。
「いただきまーす」
「ありがとう潤ちゃん」
「いただきます……」
佐伯くんはさっさとお菓子を開け始め、花音はにこりと私に向かって微笑み、好人くんは面白くなさそうにぼそぼそと呟いた。
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