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なんて、のんきに考えてる場合じゃない。
花音は歯を食いしばって、佐伯くんを睨んでいる。
佐伯くんは余裕たっぷりな顔で、面白そうに笑っている。
私が何か言わなきゃと口を開こうとすると、その前に花音が言葉を発した。
「あなた、潤ちゃんのこと好きなの?」
佐伯くんを睨みつけたまま、花音がきつい口調で彼に尋ねる。
その質問にぎょっとして、私は慌てて佐伯くんより先に否定した。
「何言ってんの花音。なんでいきなりそんなこと言ってんの」
「だって」
「友達だって言ってるじゃない。好きとかそんな……」
「好きだよ」
私の言葉を遮って、佐伯くんが言う。
「好きだよ。潤のこと、好き」
はっきりそう言って、爽やかに笑う。
花音は腹立たしそうに唇を噛み、私は驚いて彼を見上げた。
今、この人私のこと好きって言った?
は?
意味がわからないんですが!
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