3
「よく話は聞いてるよ、花音ちゃん。潤が仲良くしてもらってるみたいだね」
佐伯くんは友好的に言って、ぽんと私の頭に手をのせる。
え、私、あなたとそんなに仲良かったですか?
そう思ったものの、男慣れしてない私の頬がぱっと染まる。
それを見て、花音の顔がさらに不機嫌そうに歪んだ。
「友達じゃなかったの、潤ちゃん」
矛先がこっちに向かってきたので、私はぶんぶんと顔を横に振る。
「へっ?や、友達だよただの!」
「友達なの?ただの」
「と、もだちでしょっ」
佐伯くんに顔を覗き込まれて、私は思わず身を引く。
花音がテーブルに手を突いて立ち上がる。
佐伯君が彼女を見てにやりと笑う。
なんなんだこの状況。
どうしちゃったの二人とも。
まるで私の取り合いみたいじゃない。
王子様とお姫様に囲まれてるみたいだわ。
← | →